ONE DAY Episode.04 真夜中の海

安らぐような波の音と潮風。

「海だぜ。海―――!!今年初めての海!」

波打ち際で大きな声ではしゃいでいる恭介。

「………」
「気持ちいいよな」

砂浜に突っ立っている私の方を向いて言った。

「まっくらだけどね」

現在の時刻深夜2時。
当然のことながら月明かりだけの真っ暗な砂浜に、ぽつんと二人。

「だって、ゆら、日焼けがどうとかすぐ言うじゃん」
「その前に、一緒に来れないから」
「この時間だと誰もいないし、いいじゃん」
「なんか不倫カップルみたいだけどね」
「ゆらもこっちこいよ。気持ちいいよ」

サンダルを脱いで、波打ち際に立った。
波が優しく私の足を撫でていく。

「なっ、気持ちいいだろ?」
「うん」

しばらく二人で手を繋いで波打ち際を歩いた。
二人で歩いて出来た足跡が、今日まで二人で歩んだ道のように見える。
その足跡は、時々離れたりくっついたりして綺麗な道とは言い難いものだったけれど、それが私たちらしい道に見えた。

「あっ、いいこと思いついた」

恭介はそう言うと立ち止まり、近くに落ちていた木の枝を拾うと、砂浜にローマ字で『KYOSUKE』と大きく書いた。

「何やってんの?」
「ゆら、ほら、俺の下に名前書いて」
「ええ――?」
「いいから、いいから」

無理矢理木の枝を手渡され、言われた通りに恭介が書いた名前の下に『YURA』と書いた。
すると恭介は、二人の名前を囲む様に大きなハートマークを描く。

「ねぇ、すごくバカップルみたいで恥ずかしいんだけど……」
「いいじゃん。バカップル最高――!」